2019/01/31 22:06


 

近年、エンゲージメントマーケティング・インフルーエンサーマーケティング・KOL等、マーケティングの形は、従来のマスマーケティングやデジタルマーケティングから、より個に特化したものへとトレンドが変容している。


この世界を感じ取り、時代が到来する遥か昔に一歩を投じた人間がいる。


今回は、“熱狂顧客”の著者であり、エンゲージメディアマーケティングの最先端を行く、高橋遼さんに話を聞き、彼が踏み出した一歩を聞いていく。


・やりたいことが中々叶わなかった新卒時代

- 社会人になってからはどのようなことを考えていたのですか?

「学生の時は、コピーライターがやりたかった。今起こっていることを伝えたくて、大学では関連授業を取り、新聞社でのインターンも行った。ただ、就活ではコピーライターになれなかったんですよね。」


「結局新卒では、紙メディアの販売をしていました。いわゆるニッチメディアの媒体を取り揃えて、広告営業をしていたんです。ただ、それでもコピーが書きたくて、何度も社内提案をあげて、ようやく3年目で企画ができる部署に移らせてもらったんです。」


- 長年のやりたいことを勝ち取ったわけですね。

「でもすぐにその事業が成り立たなくなり、事業を潰すことになってしまった。その時、この会社でやりたいことができなさそうと思ったし、地元の鳥取に帰って、地元の製作会社に入ろうかなと思いました」


・踏み出した一歩

「地元に帰って、地元の人と話していた時に、運転代行サービスのA社とB社の話になった。A社は社長がブログを書いていて、B社は何もしてなくて。地元に人はどうせならA社に乗りたいよねって話になったんですよね。その時、自分のやっていることもそうあるべきだったんじゃないかって思ったんです。」


「もっとみんなに愛着が湧いて、みんなに応援されるマーケティングのあり方があるよねと思い始めてた所に、”絆のマーケティング(著者:トライバルメディア代表池田紀行氏)”という本に出会った。その中には、人がマスに動いていくのではなく、絆をベースとして動いていくと書いてあり、興味を持った。そこからは代表の池田さんと交友のある知人に話を聞きに行ったら、”どこにもない会社だよ”と言われて余計に興味を持ちました。」


-その後どういう行動をとったのですか?

「話を聞けば聞くほど面白そうで、そのあとは直接会社に連絡して、面接を受けに行きました。内定をもらってから、地元ではなく、もう一度踏み出そうと思いました。ちなみに当時は15名くらいの会社で、イケハヤさんもいました。朝礼後にブログを書いていて、クラフトボスのCMみたいな感覚でしたね。」


・航海の始まり

-そうはいっても、トライバルに入られた2010年ってエンゲージメントマーケティングなどほとんどの人は知らなかったと思うのですが、どのように開拓していったのでしょうか。

「侍社員を探すことですね。こちらが世の中を変えていこうとしているので、相手もそう思っていないといけなくて。なので、現状に満足してなくて、新しいことをしていきたいと思っている人を探してました。エンゲージメントマーケティングもそうやって地道に増やしていった。ファンの人にソーシャル上で全件返信していくとか、普通ではやってくれないし、予算を投下してくれないので、最初は感情で入りながら、論理を一緒に作っていくことをやっていました。」


「例えば、成功しているものですと、グリコとポッキーの日があるんですけど、彼らは11/11に年間の予算の大部分を投下してマーケティングをするんですね。この日はユーザが楽しんで、女子高生がポッキータワー作ってたり、ポッキーで映像を作ってくれていたり・・。何も仕込んでいないのにユーザが発信してくれる。企業がやることは火種を作るのではなく、ユーザが楽しんでいるものを広げてあげている。仕掛けることではなく、ファシリテートしているんですね。」


「エンゲージメントマーケティングでは、どうやって、自分ごと化できるか・仲間ごと化できるかが大事。そのためにこれまでも色々な取り組みをしてきています。」


・熱狂的なファンを増やす

- 今感じていることはありますか?

「企業でマーケティングをしている人たちが日々苦しそう。人口が減るなかで、振り向いてくれていない人にいかに振り向いてもらえるかを追っていて、新規獲得が目標になってしまっているところが多い。ファンの優先順位が下がってしまっていて、すごくないがしろにされているなと思っていました。これは自分が鳥取の地元で感じたような思いを再燃させるものでもあったんですよね。」


「売り上げというのは結果であって、そのプロセスは何かと考えた時に、”熱狂的なファンを作ること”という仮説があるんです。」


- 何かそういった取り組みをされてるのでしょうか?

「ヤッホーブルーイングが良い例、ヤッホーにはファンファン団という、ファンの人ととにかく向き合って大事にするチームがある。売り上げは置いておいて、とにかく熱狂的なファンを大事にしながらその熱量をあげていくことをやっている。」


「この前は、ファンの人に向けて”よなよなエールこれから会”というのをやったんです。通常のファンミーティングはおもてなしが目的になるが、その会は今後のよなよなの未来を考える会にして、ビジョンやそこに向かったアクションを紹介しながら、ファンができることを考えていく、”価値共創者”作りを目的にしました。」


-”熱狂顧客”にもそのようなことが書いてありましたね。

「はい、ソーシャルに10年ほどどっぷり使っている中で、昔はフォロワーはほぼファンだったが、今ではフォロワーが増えすぎて、濃度が変わった。そういった中ではやるべきは、フォロワーの中から熱狂的なファンを見つけ出して、そこに対して熱量を投下していくことではないかと思ってます。」


-今企業がやってほしいことはありますか?

「ファンに直接会ってほしい。マーケティングというものが空中戦のように捉えられていて、どうやって人を動かすかというゲームになってしまっているが、ファンに大事にされている会社は、ファンに直接会っている。マーケティングはもっと泥臭いもので、体温があるもの。」


「ファンと向き合うことから逃げずに、マーケティングに愛を取り戻したい。」

 

・これから

「この世に同じ思いを持った仲間を増やしながら、根本的に社会の仕組みを変えるものを作っていきたいです。

 

本屋とか銭湯とかなくなったら寂しい、

なくなって不便と思われるか、なくなって寂しいと思われるか

自分は寂しいと思ってもらえる存在になっているか

ひいては自分が幸せを与えられているのだろうか

 

応援される会社が生き残る世界を作りたい。

好きだからいてほしいという会社を作りたい。」

 

■プロフィール

株式会社トライバルメディアハウス
マーケティングデザイン事業部
ゼネラルマネージャー/チーフコミュニケーションデザイナー

1983年生まれ。鳥取県出身。広告会社を経て、2010年にトライバルメディアハウスへ参画。
企業のマーケティング戦略構築、プロモーションプランニングおよび実行に従事。これまでに大手航空会社、ファッションブランド、スポーツブランド、化粧品ブランド、飲料メーカーなどを担当。著書に『熱狂顧客戦略』。

Twitter:@ryo_tak
Facebook:takahashiryo


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